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2005年10月02日

●世界で一番幸せな犬

ああ~モコちゃんに会いたい……

友達に頼まれて、絵本の原作を書いてみました。
見事にボツになって突き返されました。
悔しいので、ブログのこやしにしてやろうと思います。
反省はしてないが、少しへこんだ('A`)

以下、興味のある方だけどうぞ。

キミとボクが出会ったのは、キミもボクも、まだまだ小さい時だった。
自動車の窓から投げ捨てられて、行き場を無くしたボク。
キミの誘いをうたがうことなんて知らなかった。
ボクは思うんだ。
ボクは、世界で一番幸運な犬だって。
だって、キミに出会うことが出来たんだもの。

ご飯をたくさん、お菓子をたくさん、お腹がいっぱいになっても欲しいんだ。
キミがくれる食べ物は、どんなものでも美味しいから。
毎日同じドッグフード。
でも、キミが側にいてくれるなら、毎日違う味なんだ。
毎日とっても美味しいんだ。
ボクは、世界で一番グルメな犬なんだよ。

自動車と一緒に眠る、四角い世界。
ボクにとっての一つの世界。
世界が光って、暗くなるまで、ボクはいつも眺めてる。
世界の動きを見ているよ。
キミの姿を追ってるよ。
ボクは、世界で一番キミを知る犬だと思うんだ。

毎日でかけるキミとの時間。
キミがクサリを用意すると、ボクはついついふざけてしまう。
もう行かないって、キミが怒ってしまうまで、ボクはついついふざけてしまう。
ちょっと反省してみせれば、キミは許してくれるから。
でもね、ボクは世界で一番反省の出来ない犬なんだ。
ごめんね。

学生服を着て、自転車に乗る君は、必ずボクをなでていく。
急がなくちゃいけないのに、キミはボクを忘れない。
だからボクも、キミが来るのを待っている。
キミがすぐになでられるように、ちゃんと座って待っている。
ボクは、世界で一番賢い犬だと思うんだ。

世界が暗くなって、キミがこっそり帰ってくる。
キミは誰にも分からないように帰ってくるけど、ボクにはキミが分かってしまう。
小さく吠えるボクを見て、キミはいつも困って笑う。
ボクを静かにさせるには、ボクをなでなきゃいけないんだよ。
ボクは、世界で一番鼻のきく犬だからね。

タバコの匂いは苦い匂い。
でも、キミが好きならボクも好き。
君の手からはタバコの匂い。
なでまわされて、くすぐられて、体中からタバコの匂い。
でも、ボクは嬉しいよ。
だって、ボクは世界で一番タバコが好きな犬だからね。

キミの車の助手席に、知らない人が乗っていた。
おかしいな、あそこはボクの席なのに。
キミと知らない人は、仲良さそうに手をつなぐ。
なんだろう、このもやもやしたもの。
知らない人がボクにさわろうとする。
でも、ボクは許さない。
ボクは、世界で一番プライドの高い犬だからね。
……ビーフジャーキーと引き替えに、遊んであげたのはヒミツだよ。

キミがスーツを着るようになって、ボクとキミの時間は少なくなった。
キミがクサリを持つことも少なくなった。
ご飯の時も、側にいることが少なくなった。
ボクをなでまわしてくれることも少なくなった。
でもね、ボクは毎日祈ってるんだよ。
キミが疲れた顔で帰ってこないようにって。
ボクは世界で一番、キミのことを心配している犬だからね。

このごろね、思うんだ。
キミの背中を見ていられるのは、あとどのくらいだろうって。
このごろね、感じるんだ。
ボクのカラダ、壊れてきてるってこと。
キミの笑顔がね、見えないんだよ。
キミの声がね、聞こえないんだよ。
でもね、ボクは不安にはならないんだ。
だって、キミがさわってくれれば、ボクにはキミのすべてが分かるんだもの。
ボクは、世界で一番、キミに愛されてる犬だから。

台風の雨に打たれて、四角い世界も水浸し。
ボクのカラダもずぶぬれだ。
大丈夫だと思ってたんだ。
今までは、何ともなかったから。
朝起きて、どうしてカラダが動かないのかフシギだったよ。
どうしてキミは泣いているの?
どうしてボクの名前を呼んでるの?
こんなに近くにいるじゃないか。
こんなにさわっているじゃないか。
泣かないで。
キミの涙は見たくないんだ。
キミが泣いたら、ボクは世界で一番不幸な犬になってしまうから。
だから、泣かないで。

キミと遊んで、キミと眠って、キミと一緒に大きくなって、キミと一緒に過ごした時間。
楽しかったよ、キミといるすべてが、楽しかったよ。
ボクはずっと側にいるよ。
キミの側にずっといるよ。
遊んでくれなくてもいいんだ。
一緒にお出かけしてくれなくてもいいんだ。
なでてくれなくてもいい。
ご飯もいらない、わがままも言わない。
ボクのこと……忘れてもいいよ。

だから、最後に一つだけ、ボクのお願いを聞いて。

ねぇ、キミ、幸せになってね。
ボクが、世界で一番幸せな犬であるために。

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