●車を売ったら、3200円でした。
本日は、会社を休みました。
だいたいですね、ゴールデンウィークだってのに一日だけ会社行かなきゃいけないなんてのがソモソモおかしな話なわけで、自主的に連休にさせてもらいました。
ウッシッシ。
それはともかく、会社を休んだからといってですね、遊んでるわけにはいかないのですよ。
最近、中古だけど新しい車(アリスト)を購入したんです。
購入したのはいいのですが、問題はそれまで乗ってた車(マーク2)なわけで。
そういうわけで、本日は、中古車屋さんへ売りに行ってみました。
結果、3200円でした。
……車を売って3200円ですか。
今時3200円もらったところで、中学生も喜びませんよね。
何しろ、マーク2は15万円(乗りだし費用すべて含めて)なだけあって、エアコンは効かないし、マドを開けたら閉まらなくなるし、シートベルトは半分切れかけてるし、ワイパーだって動作が鈍くてガラコ(雨をはじくワックス)塗らなきゃ自殺行為だったりしますし、外部の排気ガスがガンガン吸入されるのがもはや標準仕様だったりするわけで。
確かに。
確かに車としての価値は、もはや地の底なんじゃないかと思います。
ですけれども、車検を十万で受けてるわけですよ。
しかも今年の2月ですよ。
だから、どんな姿になろうとも、あと2年間は乗って動いていい車なわけですよ。
どれだけ装備が故障していようとも、エンジンが動いてタイヤが回れば、警察公認で乗れる車なわけですよ。
CDだって多少音飛びするくらいで、たまにCDが出てこなくなることをガマンすれば、まだまだ聴けます。
80キロ以上のスピードになるとハンドルがやけにガタガタブルブルするのだって、腕力をつければしのげます。
ライトが恐ろしく薄暗くたって、度胸があればしのげます。
たまにウィンカーが動かなくたって、いったんブレーキふんでとにかく曲がるんだという意志を周囲に伝えれば、どうにかなるものです。
実際、俺は3年間乗ってきて、全くの無事故なんですからね。
まだまだ問題ない車なんですよ。
それが3200円ですか。
この前買ったミスチルの「シフクノオト」といい勝負ですよ。
むしろあれですか、車売った金で宇多田ヒカルのシングルコレクションでも買いなさいという天からの啓示ですか。
俺が中古車屋さんで黙って渋い顔をしていると、店員さんは、続けてこう言われました。
「3200円、払ってください。廃車にしてあげますから」
おージーザス。
ボクはどうやらお店を間違えてしまったようです。
ここはスクラップ工場の入り口ですか、そうですか。
「アップル」はいつから廃車工場になったんでしょうか、全然気づきませんでした。
「あの車ね、はっきり言って車としての価値、ありませんから。お店に並べるわけにはいかないんですよ。それで、お客さんも新しい車あるそうですし、いっそ廃車にしちゃいましょうよ。今なら、税金3万9千円のうち、一ヶ月分の3200円だけで引き取ってあげますから」
無価値ですか、そうですか。
……いえ、わかってはいたんですよ。
自分の車がね、どれくらい痛んでいるかなんて、よくわかっているわけですよ。
アリストが隣に並ぶと、全く怖いくらい貧相な車ですもの。
でもね、このマーク2には思い出があるんですよ。
通勤40分の道のりをね、毎日コイツで通い続けていたんですよ。
大洗の海水浴場にもいったんですよ、長野に温泉入りにもいったんです。
那須にだって彼女と旅行に行きました。
3年分の思い出が、この車には詰まっているんです。
バッテリーが上がって苦労したことや、親切なヤンキー風のお兄さんに助けてもらったことや、突然ライトが切れて必死の思いで真っ暗な夜道を帰ってきたこととか。
苦労話には事欠かない車なんですよ。
人間として成長させてくれる車なんですよ。
それが、無価値ですか。
無価値というのですか。
言うに事欠いて、3200円でスクラップにしてあげますと。
それでもここは中古車屋なのかと。
本当に車を買い取りする気があるのかと。
「いやならいいんですよ。来月になったら税金二ヶ月分で6500円払ってもらいますからね」
払いました。
初めての車。
僕の思い出。
マーク2の価値は、マイナス3200円。
会社へ向かう道のりの途中、スクラップにされた車が積み上げられている場所があるんですよ。
きっと、あのつぶされて、山積みにされた車にも、マイナス3200円分の思い出が詰まっているんだろうなぁ……。
なんて、今日の気分はとってもセンチメンタルです。
